プロテインナビ

プロテインは腎臓に悪い?高タンパク食の影響を論文で確認してみた

公開 2026年7月21日

「プロテインを飲みすぎると腎臓に悪い」

プロテインについて調べていると、かなりの確率で見かける話です。

タンパク質を代謝したあとに生じる老廃物は腎臓から排出されるため、摂取量が増えれば腎臓の仕事も増えます。

ここまでは間違っていません。

ただし、そこからいきなり、

腎臓の仕事が増える=腎臓が傷つく

と結論づけるのは、さすがに話が飛びすぎです。

では、実際に高タンパク食を続けると、腎機能は低下するのでしょうか。

今回は、プロテインや高タンパク食が腎臓に与える影響について、論文をもとに確認していきます。

結論

先に結論を述べると、腎臓に持病のない健常者では、高タンパク食によって腎機能が悪化するという明確な結果は確認されていません。

28件の研究を統合したメタアナリシスでは、高タンパク食と通常または低タンパク食を比較しても、腎機能の変化に有意な差はありませんでした。

※メタアナリシス:複数の研究結果を統合して統計的に解析することで、単一の研究よりも信頼性と精度の高い結論を導く研究手法

また、体重1kgあたり2.5〜3.3gというかなり多いタンパク質を摂取した研究でも、腎機能への悪影響は確認されていません。

ただし、これはあくまで腎機能が正常な人の話です。

すでに慢性腎臓病などを指摘されている人は、同じようには考えられません。ここをごちゃ混ぜにして「誰でも大丈夫」「プロテインは危険」と両極端に語ると、どちらも雑な話になります。

28件・1,358人を分析したメタアナリシス

2018年に発表されたメタアナリシスでは、腎臓病のない成人を対象とした28件の研究、合計1,358人のデータが統合されました。

この研究では、以下のいずれかを満たす食事を高タンパク食と定義しています。

  • 体重1kgあたり1.5g以上
  • 1日の摂取エネルギーの20%以上
  • 1日100g以上のタンパク質摂取

分析の結果、高タンパク食を摂取したグループでは、試験終了時の糸球体ろ過量が高くなる傾向がありました。

しかし、摂取前からの変化量を比較すると、通常または低タンパク食との有意な差は確認されませんでした。

研究者は、健常者において高タンパク食が糸球体ろ過量へ悪影響を与えるとは認められないと結論づけています。

糸球体ろ過量が一時的に増えることを「腎臓が働かされているから危険」と説明されることがあります。

ただ、ろ過量が増えたことと、腎機能が低下したことは同じではありません。数字が動いたら即ダメージ認定というのは、さすがに判定が早すぎます。

14人が1年間高タンパク食を続けた研究

2016年には、筋力トレーニングを行っている健康な男性14人を対象に、1年間のクロスオーバー試験が行われました。

参加者は平均して6か月間ずつ、普段の食事と高タンパク食を摂取しています。

高タンパク食期間の摂取量は、体重1kgあたり約2.51〜3.32gでした。

体重70kgの人なら、1日約176〜232gです。一般的なプロテイン利用者と比べても、かなり多い量です。

それでも、血液検査で確認された腎機能や肝機能の指標に、有害な変化は確認されませんでした。

対象者が14人と少ないため、この研究だけで長期的な安全性を断定することはできません。

それでも、「タンパク質を多く摂取すれば、健康な人でも腎臓がすぐ悪くなる」という説とは一致しない結果です。

体重1kgあたり2.6〜3.3gを摂取した研究

同じく2016年のランダム化クロスオーバー試験では、筋力トレーニングを行っている男性が、体重1kgあたり2.6〜3.3gのタンパク質を摂取しました。

高タンパク食の期間は8週間で、通常食の期間と入れ替えるクロスオーバー方式で実施しています。

その結果、高タンパク食による腎機能・肝機能の指標への悪影響は確認されませんでした。

プロテインを1日1〜2回追加する程度で、体重1kgあたり3gを超える人はそれほど多くないでしょう。

それより多い水準でも短期的な悪影響が確認されていないため、健常者が通常の範囲でプロテインを利用することを、過度に怖がる根拠は乏しいと考えられます。

タンパク質を多く摂る人は腎臓病になりやすい?

短期間の検査値だけでなく、将来的に慢性腎臓病を発症しやすくなるのかも気になるところです。

2024年のメタアナリシスでは、腎臓病を発症していない合計14万8,051人を追跡した研究が統合されました。このうち8,746人が慢性腎臓病を発症しています。

分析の結果、タンパク質の摂取量が多い人で、慢性腎臓病の発症リスクが高くなるという結果は確認されませんでした。

むしろ、摂取量が多いグループでは、総タンパク質、植物性タンパク質、動物性タンパク質のいずれも発症リスクが低いという関連が示されています。

ただし、これは観察研究のメタアナリシスです。

タンパク質を多く摂れば腎臓病を予防できる、とまでは言えません。食生活や運動習慣など、ほかの要因が影響している可能性もあります。

ここで重要なのは、タンパク質の摂取量が多いほど腎臓病になりやすい、という結果ではなかったことです。

腎機能が低下している人は別

ここまで紹介した研究は、基本的に腎臓病のない健常者を対象としています。

すでに慢性腎臓病がある人は、タンパク質の摂取によって腎臓へかかる負担を考慮する必要があります。

KDIGOの2024年版ガイドラインでは、進行リスクのある慢性腎臓病患者に対し、体重1kgあたり1.3gを超える高タンパク食を避けるよう示されています。

つまり、

健常者に高タンパク食の悪影響が確認されていない

という話と、

腎臓病の人にはタンパク質制限が必要な場合がある

という話は、普通に両立します。

対象者が違うだけです。

腎臓病の人向けの注意事項をそのまま健常者へ当てはめて、「プロテインは腎臓を壊す」と言うのは、前提条件を無視しています。

健康診断などで腎機能の異常や尿タンパクを指摘されている人は、自己判断で高タンパク食を続けず、医師や管理栄養士へ確認してください。

まとめ

  • 腎機能が正常な人では、高タンパク食によって腎機能が悪化するという明確な結果は確認されていない
  • 28件・1,358人を統合したメタアナリシスでも、腎機能への悪影響は認められなかった
  • 体重1kgあたり2.5〜3.3gのタンパク質を摂取した研究でも、腎機能の指標に有害な変化は確認されなかった
  • タンパク質の摂取量が多いほど、慢性腎臓病になりやすいという結果も確認されていない
  • ただし、慢性腎臓病や腎機能低下を指摘されている人は、健常者と同じようには考えられない
  • 長期間にわたる極端な高タンパク食については、まだ研究が十分とは言えない

健常者が一般的な量のプロテインを利用することまで、「腎臓に悪い」と過度に心配する必要はないでしょう。

腎機能に問題がないのであれば、根拠の薄い不安よりも、価格、タンパク質含有率、1食あたりのタンパク質量、続けやすさなどを見て選ぶ方が現実的です。

ホエイかソイかについても、腎臓への漠然とした不安で決めるのではなく、自分の予算や体質、目的に合ったものを選んでみてはいかがでしょうか。

参考文献